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青森地方裁判所 昭和50年(わ)17号 判決

国籍

韓国(従前の本籍 慶尚北道高炙郡双林面梅林洞)

住居

弘前市大字百石町小路一九番一号

遊技業

竹本貞勲こと

呉秉烈

昭和七年一月二二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役八月及び罰金六〇〇万円に処する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納することが出来ないときは、金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、青森県弘前市においてパチンコ店スター会館及び喫茶店バンビを、同県南津軽郡大鰐町において、パチンコ店スター会館等を各経営していたものであるが、妻金順子と共謀のうえ、所得税を免れるため、パチンコの売上げ、その他の収入の一部を除外し、これを架空名義の普通預金に預け入れる等の不正行為により、秘匿したうえ、

第一、 昭和四六年分の所得金額が、一、九八六万七、四三〇円であり、これに対する所得税額が、八一八万三、八〇〇円であるのにもかかわらず、昭和四七年三月一五日所轄弘前税務署において、同署長に対し、所得金額が、六五一万六、四一〇円、同所得税額が、一三三万五、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(昭和五〇年押第二九号の七)を提出し、よって、同年分の所得税六八四万八、〇〇〇円を免れ

第二、 昭和四七年分の所得金額が、一、一六〇万六、二二九円であり、これに対する所得税額が三五〇万円であるのにもかかわらず、昭和四八年三月一五日、前記税務署において、同署長に対し、所得金額が六九一万七、六七九円、同所得税額が、一四二万九、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(同号の八)を提出し、よって同年分の所得税二〇七万一、〇〇〇円を免れ

第三、 昭和四八年分の所得金額が、三、八九二万九、三九六円であり、これに対する所得税額が、一、九三九万八、四〇〇円であるのにもかかわらず、昭和四九年三月一五日、前記税務署において、同署長に対し、所得金額が、八三九万七、五八四円、同所得税額が二〇六万四、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(同号の九)を提出し、よって同年分の所得税額一、七三三万三、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、 被告人の

(一)  当公判廷における供述

(二)  検察官に対する各供述調書

一、 証人笹田揮及び同鈴木徹の当公判廷における各供述

一、 金順子の検察官(甲検察官請求目録請求番号欄((以下甲目録番号欄と略記する))14~16)に対する供述調書三通

一、 笹田揮の検察官に対する供述調書

一、 大蔵事務官(収税官吏)作成の

(一)  被告人(乙(2)目録番号欄2~9)に対する質問てん末書八通

(二)  金順子(甲目録番号欄1~10、12、13)に対する質問てん末書一二通

(三)  笹田揮(甲目録番号欄19~26、29~33)に対する質問てん末書一三通

(四)  若松幸八に対する質問てん末書

(五)  赤石秋男に対する質問てん末書

(六)  総勘定元帳(貸借)調査書

(七)  銀行調査書類

(八)  一日一台当りの売上調査書

(九)  検査てん末書

(一〇)  仮名普通預金に預入した売上除外額の調査書

(一一)  租税公課の納付状況調査書

(一二)  従業員の給料から引去した食費等の調査書

(一三)  預金および銀行借入金等調査書

(一四)  固定資産及び減価償却費(除去損を含む)の調査書

(一五)  営業用土地建物の取得状況調査書

(一六)  備品の取得状況調査書

(一七)  銀行借入金支払利息の調査書

一、 笹田揮作成の

(一)  被告人提出にかかる上申書(乙(1)目録番号欄2)

(二)  竹本順子提出にかかる各上申書

一、 武者昭郎作成の被告人提出にかかる上申書(乙(1)目録番号欄4)

一、 佐藤サダ及び佐藤美智子作成の上申書

判示第一及び第二の各事実につき

一、 大蔵事務官作成の

(一)  金順子(甲目録番号欄11)に対する質問てん末書

(二)  黒石店の地代家賃の支払状況調査書

(三)  総勘定元帳(貸借)調査書の修正残高調査書

(四)  貸付金の調査書

(五)  車輛運搬具の取得状況調査書

判示第二及び第三の各事実につき

一、 大蔵事務官作成の

(一)  三井清に対する質問てん末書

(二)  早川広俊に対する質問てん末書

(三)  雀球賃借料の支払状況調査書

(四)  設備の取得状況調査書

一、 笹田揮作成の

(一)  上申書(甲目録番号欄66)

(二)  被告人提出にかかる上申書(乙(1)目録番号欄1)

一、 武者昭郎作成の被告人提出にかかる上申書(乙(1)目録番号欄3)

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官作成の

(一)  総勘定元帳(損益)調査書(昭和四六年分)

(二)  脱税額計算書(甲目録番号欄73)

(三)  所得税の修正申告書謄本(甲目録番号欄76)

(四)  所得税の領収済通知書謄本(甲目録番号欄79)

一、 押収してある46年分の所得税の確定申告書一綴(昭和五〇年押第二九号の七)

一、 押収してある伝票綴一綴(同号の一一)

判示第二の事実につき

一、 大蔵事務官作成の

(一)  被告人に対する質問てん末書(乙(2)目録番号欄1)

(二)  中村良一に対する質問てん末書

(三)  金遙道に対する質問てん末書

(四)  総勘定元帳(損益)調査書(昭和四七年分)

(五)  パチンコ機械の取得状況調査書

(六)  脱税額計算書(甲目録番号欄74)

(七)  所得税の修正申告書謄本(甲目録番号欄77)

(八)  所得税の領収済通知書謄本(甲目録番号欄80)

一、 押収してある47年分の所得税の確定申告書一綴(同号の八)

一、 押収してある伝票綴一綴(同号の一二)

判示第三の事実につき

一、 大蔵事務官作成の

(一)  笹田揮(甲目録番号欄27、28)に対する質問てん末書二通

(二)  大山健太郎に対する質問てん末書

(三)  総勘定元帳(損益)調査書(昭和四八年分)

(四)  脱税額計算書(甲目録番号欄75)

(五)  所得税修正申告書謄本(甲目録番号欄78)

(六)  所得税の領収済通知書謄本(甲目録番号欄81)

一、 押収してある48年分の所得税の確定申告書一綴(同号の九)

一、 押収してある伝票綴一綴(同号の一三)

(法令の適用)

(判示各所為につき) 刑法六〇条、所得税法二三八条(懲役刑及び罰金刑の併科)

(併合罪加重) 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項(懲役刑は判示第三の罪の刑に法定の加重)

(刑の執行猶予) 刑法二五条一項

(労役場留置) 刑法一八条

(訴訟費用の処理) 刑事訴訟法一八一条一項本文

(公判出席検察官 葛西和民)

(裁判官 平良木登規男)

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